基本の濃厚カスタードクリームのレシピと薄力粉とコンスターチ2つの材料の違い
カスタードクリームを作りました。
私は薄力粉を使って作りますが、コーンスターチを使うレシピもたくさんありますよね。
私の持っている本の何冊かもコーンスターチを使用しています。
なぜ同じものを作るのに、違う材料が使われるのか、薄力粉とコーンスターチについてどう違うのか、とことん調べてみました!
まずは基本のカスタードクリームの作り方です
材料
卵黄…2個
グラニュー糖…35g
薄力粉…10g
牛乳…130ml
バニラエッセンス(バニラオイルでもOK)…2滴くらい
★材料はすべて計量しておきましょう。
作り方
①牛乳を鍋に入れて、沸騰直前まで温める
これは手早く作るために重要です。
(バニラビーンズを使う場合は、ここで入れます。)
②卵黄にグラニュー糖を加えてすぐに混ぜる。
少し白っぽくクリーム色になるまで混ぜます。
卵黄にグラニュー糖を加えてから、すぐに混ぜないと砂糖が上手く混ざらなくなってしまうので、すぐに混ぜましょう。
卵黄とグラニュー糖をしっかり混ぜることで、牛乳と混ざりやすくします。
③薄力粉をふるって②に入れる。
混ぜすぎないように軽く混ぜます。
ふるって入れるのは混ざりやすくするためです。
↓で説明しますが、混ぜすぎると粘りが増して滑らかなカスタードクリームになりません。
④③を混ぜながら、①の牛乳を少しずつ加えてさらに混ぜる。
熱い牛乳を一気に入れると、熱で卵が固まってしまうため、少しずつ加えます。
⑤鍋に④を濾して入れる。
濾す作業はここでしないで、出来上がってから熱々の状態でする方もいます。
⑥バニラエッセンスを加えて中火~強火で混ぜながら一気に火を通す。
焦げないようにひたすら鍋底をこそげとるように混ぜてください。
私はゴムべらより木ベらの方がしっかりと鍋底をこそげとれるので、木ベらを使っています。
絶対に弱火で火を通してはいけません
私は焦げることにびびって弱火で作り、失敗したことがあります。
詳しくは↓に書いてありますが、弱火で火を通すと、クリームの粘りが強く出てしまい食感の悪いものになってしまいます。
⑦とろみがついてクリームがふつふつとして、しばらく混ぜると、少しやわらかい状態になります。
その状態になったら火を止めて、すぐにバットなどの容器に入れて、ラップを密着させてかぶせ、急冷します。
重要なのは炊きあげていると、とろみがついてから、一度少しやわらかい状態に戻ること。
カスタードクリームは冷やすと粘りが増すため、ここで少しでも粘りの度合いを軽くするために最後にやわらかい状態に戻すまで火を通す必要があります。
⑧冷蔵庫から出したカスタードクリームを使う時は一度濾して滑らかな状態にしてから使います。
では、なぜ材料にコーンスターチと薄力粉を使うのか…
薄力粉にもコーンスターチにも、デンプンが含まれています。
デンプンは加熱することでとろみをつけます。そのためカスタードがクリーム状になります。
薄力粉とコーンスターチの違い
薄力粉は小麦から作られる粉でたんぱく質の量が少ないものです
デンプンも含みます。
コーンスターチはとうもろこしからとれるデンプンです。
薄力粉とコーンスターチから作るカスタードクリームの違いを調べました。
薄力粉のカスタードクリーム
- とろっとしてなめらか
- まったりとしてこくがある
- もっちりしている
- 濃厚
- 粘りがある
コーンスターチのカスタードクリーム
- さらっとした軽いクリーム
- 冷めると形を保ちやすい
- あっさりとしていてぷりっとしている
- 粘りがある
- 粉っぽさが残る
薄力粉とコーンスターチで、薄力粉の方が粘りがあるという意見、コーンスターチの方が粘りがあるという意見、両方あります。
これはなぜでしょうか?
デンプンは加熱することでとろみをつけ、粘りの度合いが増えます。
↑これを見るとコーンスターチの方が粘りがあるように思えます。
95℃~50℃まで冷却するときも、コーンスターチの方が粘りの度合いが増えます。
このため、コーンスターチのカスタードは粘りがあり冷めると形を保ちやすいのです。
ではなぜ薄力粉のカスタードの方が粘りがあるという意見があるのか…
コーンスターチはデンプンのため、ほとんどたんぱく質を含みません。(100g中に0.1g)
薄力粉にはたんぱく質があり(100g中に約8g)、そのたんぱく質は粘りの元となるグリアジンと弾力(コシ)の元となるグルテニンです。
小麦粉に水分を加えて練ることで、この2つのたんぱく質から、グルテンが作られます。
このグルテンがあるため、薄力粉のカスタードクリームはもったりとして粘りのある食感になります。
作り方の③で薄力粉を加えてから混ぜすぎたらいけないのは、混ぜすぎることで、グルテンが作られてしまうからです。
そして、⑥で強火で手早く炊きあげなければいけないのは、ゆっくり弱火で時間をかけて作るとグルテンがたくさん作られてしまうからです。
どちらも粘りが強くでてしまうのですね。
つまり、作り方で粘りの違いがでてしまうのです。
粘りが強くなると食感が良くないので、薄力粉を使って作るときはこの2つのことに気をつければ、濃厚でとろりとしたおいしいカスタードクリームを作ることができます。
一方、コーンスターチはグルテンを作らないため、弱火~中火で作っても大丈夫のようです。
粉っぽさに関しては、水分と良く混ぜておくとなくなるそうです。
私の持っている本の中で、コーンスターチを使うレシピだと、先に少量の冷たい牛乳とコーンスターチを混ぜて、それから卵、砂糖、温めた牛乳を加えて混ぜるレシピがありました。(温めた牛乳とコーンスターチを合わせるとデンプンに熱が加わってしまうので冷たい牛乳を混ぜます)
まとめ
プロの方はカスタード用の粉で、デンプンの量が少なくなめらかに仕上がる、プードル・ア・クレーム(poudre a cream)や、薄力粉を使うことが多いようです。
コーンスターチは、これらの代用だったり、食感を変えるためだったり、作りやすいという理由で使われるようになったのではないでしょうか。
コーンスターチのデンプンは小麦粉のデンプンよりも粘りの度合いが大きくなるため、コーンスターチを使う時は薄力粉(小麦粉)よりも少なめにします。
牛乳の量を増やせばより柔らかくなるし、卵黄だけでつくれば濃厚な味わいになるし、バターを最後に加えればこくがでます。
材料や、作り方によってカスタードクリームの状態がだいぶ違います。
まずは基本を知り、材料を変えて試すことで自分の好みのカスタードクリームを作る事ができるのではないでしょうか。
あなたの好みのカスタードクリームが作れるように、工程や材料の性質の意味を知り、色々と試してみてください。